「手動運転装置付きラクティス」での湯郷温泉の旅

「手動運転装置付きラクティス」のご予約は
フリーダイヤル(0120-55-66-00)から受け付けております

◇30年来の夢かなう!

平成23年秋より、トヨタレンタリース岡山の皆様にサポートをいただいて、車いすプロ卓球選手として活動している岡 紀彦です。
この度、多くの車いすユーザーの念願であった、「手動運転装置付レンタカー」を導入していただきました!
私も小学生の頃より車いす生活になり、18歳で自動車免許を取得し早30年「手動運転装置付自動車」にずっとお世話になっていますが、これまで車の検査・修理時など代車がなく、いつもタクシーでの移動でとても不便な思いをしていました。
日本ではまだまだ稀な今回の導入に車いすユーザーの一人として心から感謝しています!
手動装置は簡単に言うと、オートマチック車に1本余分にレバーがあり、それを前に押すとブレーキ、後ろに引くとアクセルという仕組みになっていてイメージより簡単な操作だと思います。

◇「温泉」といえば「旅館」といえば「和風」…… 車いす大丈夫?

今回トヨタレンタリース岡山様のご配慮により、「手動運転装置付きラクティス」での湯郷温泉の旅をさせていただくことになりました。
でも温泉地といえば全てが「和」のイメージ。これまで温泉旅行の経験がない車いすユーザーの私にとっては不安な事だらけ。特に宿泊施設は、試合の時などでも設備を詳しく調べて手配しています。
今回担当の方に、宿舎は「かんぽの宿」を紹介・手配していただきました。HPを見ると「バリアフリーに力を入れている」と明言。「身障者対応客室」が1室あり、その部屋を予約していただきました。(どんな部屋かは後ほど)

◇生まれて初めてのレンタカー

これまでレンタカーにお世話になったことがない私にとって、レンタカーの運転そのものがとても楽しみでワクワクしていました。
岡山国体以降、岡山駅もとてもきれいで便利になり、改札から岡山駅西口リットシティ店へ車いすでなんの不便もなく約3分で到着。

担当の方に大変親切にご対応いただきました。
また駐車場所も通常の場所ですと両サイドのスペースが狭く、ドアを一杯に開いて乗り降りする車いすユーザーは困ってしまいます。
ちゃんと障害者用の場所に停めて準備いただいていて感謝です。

◇いざ出発!

好天に恵まれ気持ちよく10:15出発。
しかし、いつもはポルテに乗っている私は、車高、車幅、チェンジレバーの位置などの違いに少し戸惑い、また加速・減速、ブレーキのかかり具合なども、やはりいつもとは違い、少しぎこちない運転となり助手席のヨメさんにブツブツ文句を言われながらの出だしとなりました。

それに手動装置も、握りの部分の形状が、私は丸型、今回はT型。ウインカー、クラクション、ハンドルのノブの位置なども若干違い、慣れるまでけっこう神経を使いました。

◇温泉街探索

直接かんぽの宿に向かえば2時間弱くらいで到着しますがチェックインは15時以降、色々な場所に行ってみました。
まずは11時ごろ、「西の屋赤坂店」で少し休憩。車いすユーザーが一番気になるのがトイレ。ちゃんとありました。

そして出発して約2時間後12時過ぎ、走行距離約50キロ、湯郷温泉観光協会に到着。

温泉街をゆっくり探索。まずは昼食。
ヤマメ定食、揚げ豆腐定食をいただきました。
ヤマメはきのどくですがついさっきまで水槽で元気に泳いでいた方です。とても美味しくいただきました。合掌…

「円仁法師」が足に傷を負ったサギが、湧き出ているお湯に足を浸けているのを見て、温泉を発見されたそうです。
鷺温泉とも呼ばれています。

「源泉地」

公共の足湯もあり。車いすから降りて1~2メートル移動できる人であれば、充分利用できます。
街の公衆トイレもOK!

「ゆーらぎ橋」では1時間に一度、サギの形の噴水が見られます。年甲斐もなくくぐってみましたが、風向きが悪く予想以上の水量でびしょびしょになってしまった~。
抹茶と有名な?お菓子「湯もや」もいただきました。

つい1週間ほど前に、「岡山湯郷Belle」の必勝祈願が行われた「湯神社」
ヨメさんが階段を上がり下見。すぐ横に坂道(一人で上がるには厳しい勾配)がありました。
私はロンドンパラリンピック出場はなりませんでしたが、宮間キャプテン率いるなでしこJAPANには頑張ってもらいたいです。

温泉街を出発し、車で10分くらいの大山展望台へ。
展望台の入り口が閉まっていましたが、せっかくなので車から降り頑張って車いすで。行きは下りで楽勝(車いすで下り坂ほど楽なものはありません)。しかし帰りは…。
高いところからの眺めは絶景です。それにまだ桜もきれいでした。

◇いよいよ温泉! (*^_^*)

午後4時、ついに「かんぽの宿」へ到着。障害者用駐車場は2台分あり。(屋根までついてました)

少し低いカウンターも設置されているフロントでチェックイン。いよいよお部屋へ!
「身障者対応客室」の入り口ドアは引き戸。ドア側の縦手すりはもちろん、左の壁側にも手すりあり。(これが微妙に便利です)

部屋はかなり広く、とてもキレイ。バスルームも車いすユーザーでも問題無し。

緊急時のブザーもあり。聴覚障害者の方のためにFAXも準備されていました。
それから天井のレールがわかるでしょうか?「天井走行リフト」といって、体の自由がきかない人でも体を固定し、天井からぶら下がってベッド~お風呂~トイレなどリモコンで移動ができます。

いよいよ温泉へ。
今回は大浴場でなく、「家族風呂」に入らせていただきました。
通常予約制で、50分間1,050円、延長30分525円ですが、障害者の人は無料。翌朝も空いていたので気兼ねなく入浴させていただきました。
四角い浴槽と、丸い露天風呂、浴室内で利用可能な濡れてもかまわない青い車いすも完備。

「ユニバーサルシート」といって、ちょっと座ったり、横になったりして着替えができるシートもありました。

ボディシャンプー、洗顔フォーム、シャンプーなども良いものがあり、いろいろ使って楽しみました。

ちなみに大浴場は、階段で上がらなければならない場所でした。
これは難しいな~と思って見ていると、ヨメさんが階段の左下を指差します。
階段の昇降機がついていました。これは驚きでした。

夕食はとても豪華で次から次へとお料理が。
食の細い私はなんとか完食。ヨメさんは余裕で完食! 大変美味しくいただきました。


温泉で疲れを癒し、美味しいご馳走をいただいて、「妻と部屋でゆっくり語らいの時間を」と思いきや、5分後には爆睡状態だったそうです…

翌朝はまた家族風呂で湯あたりする程しっかり堪能し、朝食バイキングもこれまたしっかり美味しくいただきました。

それから車いすユーザーのホテル選びのチェックポイントの一つとして、部屋内ではなく「共有スペースに障害用トイレがあるかどうか」があります。
部屋内の洗面所、トイレが狭く使う事が難しい場合(ビジネスホテルなど)、フロント階などに障害者用トイレがあれば、そこを使わせてもらえば問題解決です。
こちらはレストランがある2階に設置されていました。

手すりも廊下、お風呂などほとんどの場所に設置されていたり、随所に色々な工夫がされており、少し歩行が不安になった年配の方にもとても優しく、また職員の方々にはさりげない気配りとお気遣いをいただき、ハード・ソフト面とも何のストレスもなく気持ちよく過ごさせていただきました。
今度は両親も一緒に連れてきて親孝行ができればなぁ~といった感想です。

◇車への乗り降り

いよいよ2日目のスタートですがその前に、
車いすユーザーが自力でどうやって車に乗り降りするか紹介させていただきます。
人によって違ったりもしますが、今回は一番オーソドックな(と思われる)方法を紹介します。

まず右側のドアをいっぱい広げ、運転席に乗り移った後、車いすを折りたたみます。
私の車いすは横幅65センチ、折りたたむと約35センチになります。

その後、自分のシートを後ろに倒し、助手席を前に倒し、車いすを持ち上げて体の上を通し助手席の後ろに放り込みます。
ちなみに私の車いすの重さは約10キロです。

こんな感じですが、腕に重い障害がある方でも、自力で積み下ろしができるよう工夫された福祉車両は色々とあるようです。

◇足湯~岡山湯郷Belle~イチゴ狩り

9時30分に大変お世話になった「かんぽの湯 美作湯郷」をチェックアウトし2日目のスタートです。
最近の湯郷と言えば、もちろん女子サッカー。
私たち二人とも、どんなスポーツでもナマ見学は大好きで、機会があれば勉強させてもらっています。
という事で、岡山湯郷Belleの練習場所へ! ですが残念ながら練習はされていませんでした…

ヨメさんの強い希望で再び足湯へ。

最後の行事、「農マル園芸・美作農園」でのイチゴ狩り。
40分食べ放題1,600円がネットクーポンで1,100円。
こちらも車いすでも問題なく楽しめました。
私もヨメさんも美味しくたらふくいただき、お陰さまで昼食の倹約になりました!

ヨメさんは本当に食べすぎでイチゴちゃんになってしまった~(いい年こいて)

◇温泉最高!

そんなこんなで、途中縁起の良いメーター数になったりと、総走行距離131キロで無事無傷で、岡山駅西口リットシティ店に「手動運転装置付きラクティス」をお返しすることができました。

車いすで「レンタカーで温泉?」とても不安でしたが、ほとんど困ることなく楽しめました。
1か月前に大きな試合があり山陽新聞さんに大きく取り上げていただいていたため、地元の方にはあちこちで祝福、激励の言葉をいただき、故障していた膝にもよく、とても楽しく有意義な2日間となりました。心から感謝です。

今後、日本各地で「手動運転装置付きレンタカー」が増え、車いすユーザーもゆっくりと公共交通機関で遠方へ行き、現地でレンタカーライフを楽しめる、それが当たり前になることを心から願っています。
それに…
今まで温泉旅行は選択肢にない生活でしたが、今後は…

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